| ミュージカルフリースタイルに思うこと |
| 音楽好きで、犬好きな人なら、きっと音楽に合わせて愛犬とダンスが出来たら楽しいんじゃない?と考える事がないでしょうか? 30年以上も前、私がお世話になっていた訓練所の師匠の発案で、(団体訓練の披露の時間に、音楽に乗せてマスゲームのようなものをやってみよう)という事になりました。そのころ懇意にしていたお客様に、プロの歌手の方がいらして、その方と共にルーティンを考え、楽しみながら一曲創りました。 師匠と同僚合計5名で、JKCのショウで発表しましたが、結果については全くというほど覚えていません。 その当時は、犬を訓練をすること事態が特別なことであり、競技会でも我々プロの訓練士が指導手として出場し、飼い主さんが参加することはごく一部の人を除いて殆どありませんでした。又、家庭犬の訓練というものも格下に見られていたような気がします。で・たぶん誰も関心を示さなかったのだと思います。 |
| 私の愛犬ボーイ(耳の聞こえないダルメシアン)が一歳半のころ、それまでいい子に訓練が出来ていたのに突然ずるさが出てきて、来いの合図を、ちゃんと見たにもかかわらず見なかったことにするようになりました。そういう時に私が楽しそうにリズムに乗って下がったり、押したり、回ったりすると、彼もおもしろそうに一緒の動作をするのです。それでボーイとは時々そういう遊びをしていました。 |
| ちょうどそのころ、ボーダーコリーのブリーダーさんの家で、「これをぜひやって!」と見せられたのが、あの有名なメリー・レイの(ヒールワーク・トゥ・ミュージック)のビデオでした。チョコレート色のボーダーが、彼女から一瞬も目を離さず楽しそうに動いている!脚側行進を、嬉々として、右だろうが左だろうが、一回りだろうが、難なくこなしている。しかもリズムに合わせて!「もうこれはやるっきゃない!!」と思いました。 |
| そう思ってもすぐに始められるものでもなく、まず実際のダンスを生で見るしかない。それで英国の世界で一番大きいドッグショウ、クラフトに行くことにしました。イギリスでもミュージカルフリースタイル&ヒールワークトゥミュージックはまだまだメジャーではなかった時期だと思いますが、メインリングの次に大きいスペシャルイベントリンクで、いろいろなデモの合間に五分ずつ一日四回、ダンスのデモも行われていました。マイナーとは言え、それを目的に見に来る人も多く、たった五分のデモを見るために30分以上も前から席を確保しておかなければなりません。それを知らずにギリギリに行ってお目当ての人のパフォーマンスを見ることが出来なかったり、いろいろ失敗しながらも、楽しい楽しい4日間を過ごしてきました。 それからクラフトには計五回行っています。年々ダンスの人気はうなぎのぼで、今では一時間以上前に席を確保しなければならないのですが、要領が良くなりビデオ撮りも通行人の支障がないところに陣取るすべも覚えました。 |
| クラフトから帰って、日本でもフリースタイルをやっている方がいるとの情報があり、福岡ドームでデモがあるとのこと。見学させてほしいと打診したところ、快く受け入れてくださったのがアンディ島田先生でした。そのころアンディ島田訓練所の生徒さんたちは、すでにWCFOのビデオコンペでも数多く優秀な成績を収めていました。私にとっては初めての九州旅行であり、見知らぬところへ一人で行くことは、歳は食っていてもかなりの冒険でしたが、本当に行って良かったと思っています。チームアンディの犬たちはみな素晴らしかったです。基礎訓練がしっかり入っているのと同時に、犬へのキューが自然にダンスの中に溶け込んでいるのです。ハンドラーのダンスもそれぞれ個性的で美しく、ちゃんと踊っているのですが、見ていて違和感がないのは、犬とハンドラーの動きのバランスが良くとれているからだと思いました。 |
| それからしばらくは、PAWFECTに参加して、黒ラブのエクちゃん・イエローラブのパールなどに練習のおつきあいをしてもらっていました。そしてある時突然、天からのさずかりもの・私の相棒ファンファンに出会いました。自分の年齢を考えこれが最後の子育てと思っていた私は、ブリーダーさんの意に反して超・超わがままむすめにしてしまい、本当に申し訳なかったと思っています。でも、それもこれも今は笑い話になりつつあります。ちょっと時間はかかりましたがファンファンはずいぶんいい子になってくれました。そして何よりも私とのダンスが大好きなので、いつも楽しく練習できるのが大きな喜びです。 ファンファンの子育て写真はこちらをご覧下さい。 |
| 1970年ころにクラフトに行った時、8歳のトライのコリーが現役ピッカピカでリンクを走っているのを見ました。日本人は2才半〜3才位でチャンピオンを完成するとすぐに引退させ、次の犬に移る傾向があるので、ちょっとあせりすぎだと思ったものでした。長いこと訓練の仕事をしていて、どっぷりと日本式に染まり、そんなこともすっかり忘れていましたが、ミュージカルフリースタイルを始めてからはファンファンがおばあさんになるまで踊るつもりでいます。ま・私の身体がそれまで持てば…の話ですが…。 |
| ファンファンが7ヵ月になったころから、本格的にダンスの練習を始めました。トリックを教える段階は問題なく進んでいたのですが、いざ振り付けを…というところで、なかなか思うように進まなくなってしまいました。ファンファンはやる気まんまんなのですが、私の方が、音楽選びも出来ず、ルーティンが創れないのです。自分の好きな曲を選び、理想の振り付けを考え、イメージを膨らませつつやってみるのですが、どうもしっくり来ません。結局彼女が二歳になっても、ろくな結果が出せない状態でした。 |
| 自分の技術は全然上がらないのに、まわりの状況だけには恵まれ、本当に多くの方々のご協力を得て、2004年11月に日本で第一回目の本格的なミュージカルフリースタイルの競技会を開催することが出来ました。畔柳さんのほねおりで、チャップリンのルーティンであまりにも有名なイギリスのDr.アティラ・シュクカレクを審査員としてお招きすることが出来ました。また九州のアンディ先生を始め、日本全国からミュージカルフリースタイルのファンシャーに参加していただき、思っていた以上の成果を上げることが出来ました。ただしファンファンの結果はさんざんでしたぁぁぁっ…。 MK-9FScompetition 2004 の様子はこちらをご覧下さい。(パスワードは 2006 と同じ) パスワードを知りたい方は、住所・氏名・電話番号明記の上メールにてご連絡下さい。 |
| 私が競技会にこだわるのは、 ○ともすれば物好きな犬バカ人間のお遊びとか、大道芸とか・面白半分に取られがちなドッグダンスを、そうではなく、きちんとしたオビディエンスが必要な、犬も人も楽しめるドッグスポーツとして認識して頂きたいと思うこと。 ○せっかく楽しく練習した成果なので、一部の上手な人だけではなく、多くの方たちが発表の場を持てると良いと思うこと。 ○コツコツ練習すれば誰にでも楽しむことが可能であるスポーツであり、又アジリティ・フリスビーのような激しいスポーツを引退したような犬でも、無理をしなければ、かなりの年齢まで楽しめることを知ってもらい、多くのファンシャーを増やしたいこと。等です。 コンペに参加することで、お互いに切磋琢磨しつつレベルアップをはかることは大切だと思いますが、一等賞を取ることばかりにとらわれず、ご自分の愛犬と楽しむことを第一の目標にしていただきたいと思います。 |
| クラフトに通い続けているうちに、いろいろなダンサーと知り合いになりました。マギー・ベックハウスは私と同じ訓練士で、ウェールズでフィールドを持っています。広大なフィールドと素晴らしい屋内練習場を持ち、オビディエンス・アジリティ・フリースタイルすべてを教えています。そして、私がミュージカルフリースタイルを始めるきっかけとなったメリー・レイのセミナーを、年に一回ずつ開催しています。「もう少し英語が上達してから。」という私に彼女は「ダンスなんだから、見てりゃわかるわよ。」と言ってましたけど…。一度は訪問してみたいものだと思っています。 2001年にクラフトに行った時カンカンを踊っていて印象深かった、有名なキャス・ハードマンは、2005 年のコンペで13才のジニー(ボーダーコリー)と踊り2位になりました。今年のクラフトは、ジニーの足が心配だからエントリーしないと言って、スパイスと踊りましたが、7月のビデオでまだまだ元気に踊っている14才のジニーを見ることが出来て、ほっとするやら、うれしいやら…。 |
| そして2年ぶりにDr.アティラを再度招いて、第二回MK-9FScompetition 2006 を開催することが出来ました。二年前と比較すると、参加者のレベルはかなり上がっていて、今後のミュージカルフリースタイルの発展に、確かな手ごたえを感じるものでした。又今年は新しい試みとして、フリースタイルの基礎になるステップンムーブという課目を取り入れ、その審査をアンディ先生にお願いしました。規定の発表が遅れたことなどもあり、結果は今一でしたが、今後内容を充実させて行けば、きっとおもしろいものになるのではないかと思います。その様子も写真に少し撮られていますのでご覧下さい。 |
| 私がまがりなりにも一曲のルーティンを創ることが出来る様になったのは、那須のAFCで行われたキャロリン・スコットのセミナーに出てからです。マンツーマンのレッスンを3回受けました。一曲(一分間)のルーティンを創りながら、きちんと教えていただくことが出来、本当に勉強になりました。私の仕事柄出来て当たり前、出来なきゃはずかしい…という気持ちはいつもあったと思います。でもつらつらと考えてみると、具体的に誰かに教わる機会もなかったし、一人で試行錯誤はしたものの、客観的に私のダンスを見て批評してもらったこともなければ、ほめてもらったこともなかったナァ…と思いました。キャロリンは私とファンファンをひたすらほめてくれました。すべて鵜呑みにしたわけではないけれど、私が見失っていたファンファンの良い部分を確認することが出来ました。そして私の悪いところを指摘され、思ってもいなかったところを褒めていただいたことで、自分にも少し自信がついたかな?と思います。 |
| ただ自分が楽しみたいという思いだけで始めたミュージカルフリースタイルです。たくさんの素質を秘めているファンファンには申し訳けないのですが、今後こうなりたいというような大きな目的もなく、アクロバット的な技を獲得したいという希望もありません。 いろいろな人が、いろいろな考えで、いろいろなルーティンを創っていますが、これから私の目指したいものは、○あくまでもダンス的に美しくあること ○曲にマッチした少しのコンテンツを感じられること ○犬とハンドラーの動きのバランスが取れていること ○動きがスムーズで確実性があること ○そして何よりも自分が楽しくファンファンも楽しんでくれること などでしょうか? 年に1〜2曲程度のルーティンを作り、一曲ずつを丁寧に大切にレパートリーとしていけたら…などと考えているのですが…。 |